声帯

つんく♂さんが全メンバーの声帯写真とにらめっこしながらパート割を決めているというのは有名な話ですが、分割ユニットでのパート割にはその成果が顕著に現れていると思います。つんく♂さんは理系出身か文系出身かは知りませんが(私と同じ母校だったりします。彼が留年を何回かしていれば大学構内ですれ違っている可能性もあるんですw)プロデュースに関しては理系チックな方法だなって思いますね。あれだけ人数がいるのですから感情論やインスピレーションに支配されるよりも身体的能力で決定したほうが確かに仕事はスムーズでしょうね。パート割が少なかったメンバーの不平不満も論理的にねじ伏せることが可能ですからw
今回のさくら新曲について少し考えてみました
モーニング娘。×つんく♂』より一部抜粋

矢口真里】・・・・・(前文略)「見た目から想像したとおりに、かん高い声で。でも、すごい安定感がある歌だったんですよね。保田と違うタイプで。彼女くらい正確にピッチを当ててくる歌が欲しいと思っていたんです。(---略---)僕のイメージでは、「ペニーレーン」に出てくるピッコロ・トランペットみたいな。(以下略)」
【よし澤ひとみ】・・・「飯田の声の特徴が"あ"と発音してから"あ"の音になるまでの立ち上がりの早さだとしたら。よし澤の場合は、発音してから音になるまで、ちょっと時間がかかる。でも、その"ロスタイム"が彼女の特徴なんですね。(---略---)なんだろ、マライア・キャリーがメリッと声を絞り出すときのような感じ?(以下略)」
加護亜依】・・・・・「後藤の光線系の感じに類似するポイントとしては、加護と辻なんですね。後藤を中心にして、辻加護は"上と下"の光線みたいな感じがあるんですね。(---略---)今の13人の中では、例えばニューヨークR&B的フェイクみたいな粘り気のある歌い回しのニュアンスは、加護がいちばん出せますね」
(聞き手)──"つんく♂的ニュアンス"も?
「そんな感じもあるかな。語尾をややフラットするクセとか、シンコペーション*1に少し弱いところはあるんだけど。(以下略)」
高橋愛】・・・・・・(前文略)「リズム感は極端に悪かったんですけどね。(---略---)クラシック・バレエをずっとやってたコだから、ずっと教えられてきた美意識とかがしみついているんですね。音楽に対する美意識みたいなものが、ちょっと今のポピュラリティーからはズレているんですよ」(以下略)
新垣里沙】・・・・・(前文略)「彼女がいちばん若いので、まだ声帯が落ち着いてない感じするんですけれど。ただ、後藤より若干粘りっけがある、柔らかい声質なんですよ。(---略---)だから最終的には、いちばんいろんなジャンルに器用に行けるはずの声帯を持っていると思いますね。」
紺野あさ美】・・・・(前文略)「入ったころは、とにかくすごい状態でしたね。特に音程に関しては。びっくりするほど、音を覚えない。だからメンバーの誰もが"紺野におびやかされることはないな"と、見ていたはずなんですよ。まさか自分のポジションに紺野は来ないだろうと。ところが、その後、火がつくのが意外と早かったですね」(以下略)

ざっと抜き出してみたんですが02年発売ですからご覧のように亀井さんは加入前で言及されていないのと、まず後藤さんありき、でつんく♂さんはメンバーを評価しているんですねwある意味しかたのないことですけれど。それと五期については小川さんも含め声帯についてはほとんど触れていません。まだイメージや性格に対する言葉が主文になっています
今回の新曲を聴いた方の感想は人それぞれだと思いますが、私は矢口さんとよし澤さん、そして加護さんのパートが素晴らしく声帯のポテンシャルを発揮しているなぁと思います。「♪廊下では元気そうな〜」のBメロは矢口さん以外誰がいるねんっ!思うくらい秀逸なビームですし、そのあとを引き継いで微妙に発声タイミングをずらす高等技術、よし澤さんの「♪笑顔だね〜」はサビへと盛り上がっていくための効果的なアクセントだと思います。意地悪な言い方をするとこの曲の真の見せ場はここだと思いますし年長組二人が1番であのパートを歌っているのは正解だなと思います。2番は歌詞が少しアレですが「♪弁当は大盛りね〜」が高橋さん、「♪私でも〜」が亀井さんなんですが高橋さんの代わりに新垣さん、亀井さんの代わりに紺野さんで聴いてみたいですね。さらに素晴らしくなるはずです。間違いない!
1番の最後「♪やさしく〜」はファーストシングルを受け継いで加護さんが担当しているところからこの曲も全体的な印象から言えば加護さんをイメージして作ったんではないでしょうか。つんく♂さんは加護さんに曲中で自分自身の感性を発揮させたいときは必ず加護さんに期待し、そして絶大な信頼を置いているんだと思います
センターに立った高橋さんには曲に古風な美意識を植え付ける効果を期待したのではないかと思います。高橋さんファンとしてはサビで一度バックに下がったあと最後に胸を張って前列センターへ出て行くところが最高に嬉しい部分ですねw
平坦な歌ですから1度聴いたくらいでは印象に残りにくいですがつんく♂さんの声帯論と美的感覚がうまく調和している素晴らしい曲だと思いますよ。分割曲だからこそ、こういう見方もできて楽しいです。そして、4期までの3人がいなければこの曲は成り立たないのも間違いないでしょう

*1:強拍と弱拍の通常の位置関係を変え、音楽のリズムに緊張感を生み出す手法。一般には、弱拍の音を次に続く同一音高の強拍の音とタイで結ぶことによって作り出す。移勢法。切分法。切分音。「三省堂国語辞典」より